郵便飛行機

 外に出ると、そこには黄金の景色が広がっていた。黄色い菜の花が地面を埋め尽くす勢いで無造作に並んでいる。かすかな土の匂いが漂っている。濃縮された生命の活力が花粉のように広がって空間を包んでいる。開けた青空には郵便飛行機が飛び交っている。手紙をしたためた人がどこかにいて、手紙をこれから受け取る人がどこかにいる。そして手紙を届ける人が頭上にいる。あちこちから人々の話し声と笑い声が聞こえる。正真正銘、いきいきとした人間の声である。

 色、匂い、音。何もかもが鮮明で、五感の許容量を遥かに超えていた。

 夢、ではないらしい。そうか、ここには戦争がないんだ。